前ページでは、2CVの故障やトラブルについて触れましたが、それでも今だに私が乗り続けているのは、やはり「2CVに乗ってて良かった」と実感できる瞬間が少なくないからです。
このページではそんな、2CVが輝く時というのを、個人的な目線でまとめてみました。
2CVの大きな魅力のひとつとしてまず最初に挙げられるのは、屋根が広く解放できるキャンバストップではないでしょうか。
フロントウィンドウのすぐ上からリアウィンドウの上部までを覆っている塩ビ製の薄っぺらいトップを、
クルクルと海苔巻きのように巻いて、室内側のベルトで固定すれば出来上がり。
大きく開いた頭上の四角い「額縁」越しに、新鮮な視界が広がります。
満開の桜並木、紅葉時のもみじ、夜の高層ビル群などなど、見上げる風景はお好み次第。春の優しい日差しの中、 桜の木の下に2CVを止めて、頭上でちらほらと散りゆく花びらを車内から眺める、なんていうのも情緒的です。
通常の車であれば、キャンバストップはオプションであったり、ハイグレードな車種のみに用いられたりする傾向にありますが、こと2CVにおいては、通常モデル自体が全てキャンバストップです。更に2CVならではのユニークな点として、運転席も含め全てのシートが着脱可能であるという事が挙げられます。
シートを外す事で室内の床を水洗いできたり、また外したシートを利用してピクニックやBBQを楽しんだりと、メイテナンス性とレジャー性とを兼ね備えています。
単純な発想でありながらも、自動車という移動手段としては稀に見る、貴重な機能ではないでしょうか。
以前あったキャンプ場での話ですが、BBQをしていた時、ここぞとばかりに全てのシートを外して皆に座らせていたところ、急に車を移動しなければならなくなり、 その場しのぎで運転シートの代わりにクーラーボックスを置き、それに座って2CVを移動した、なんていう事もありました。もちろん、周囲は大笑いです。
2CVの大きさってあまりピンと来ないかも知れませんが、全長3830×全幅1480×全高1600というサイズからもわかる通り、全長は軽自動車の規格を 40㎝近く上回る一方で、車幅に関してはその規格の上限ピッタリのスリムボディです。
その為、左ハンドルでありながらも、比較的、対向車線側の間隔が気にならず、また他の車が辛うじてすれ違うような狭い道も難なく通過できます。
キャンプ場に行く途中の細い山道などで随分助かった覚えがあります。
私自身、2CVを家の前で洗ったりいじったりしていると、ご近所の知り合いはもとより、見ず知らずの人に話しかけられる事が多々あります。
「お、シトロエンじゃねぇか、懐かしいなぁ、おい。」
「そのうち博物館行きじゃないの?大事に乗りなよ!」
一度、2CVで京都に行った時など、お寺巡りをしているオバサンの一行に、こう言われた事があります。
「あらまぁ、まるで人力車みたいねぇ。」
こんな風に見知らぬ人に気軽に声をかけてもらえるのも、一重に2CVのカリスマ性によるところが大きいでしょう。
私はここ数年、何度かフリーマーケットに参加していますが、車持ち込みの場合に2CVで出店すると、けっこう注目を集めてくれ、 お店の看板的な役割を担ってもくれます。
中には「この車も売り物かい?」などと、お約束の冗談をかましてくるお客様もいたりして、上手い具合に会話のきっかけを作ってくれるのも、 2CVの頼もしいところです。![]() |
Citroen 2 Cylinder, |
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